ポケグレにヌカ・グレネード。

ノゾミガタタレター

まいんちゃんこわい。


十人寄れば気は十色、と申します。お顔の形が違いますように皆さんそれぞれに心持ちというものが違ってございます。


好き嫌いなんていうものはどなたにでもあるものですが、あれが好き、これが嫌い、なんていうものもひとりひとり違っておりまして・・・。私なんぞはアニメ鑑賞なんぞが大変・・・まぁ好きなものでして。なにはなくともアニメ、みたいなところがあるのではございますが、これが結構アニメなんてものは見ない、っていう方も多い訳でございます。逆にドラマなんてものは、人の見るものじゃない、と思っている訳でございますが、ドラマを好んでみる人々に言わせたら、


「お前はアニメばっかり見ているから、そんな事を言うんだ」


なんて事を言われてしまう訳ですな。これはもう仕方がない。まぁそういった好き嫌いの違いがあるからこそ、人生なんてものは面白いんでございましょうねえ。


とあるオタクの集まるオフ会。夜も更けて参りますと、話題も普通のものから、ちょっと外れたものになったりもいたしまして。ふとしたところから、アニメの中で怖いものを皆で言い出したりするものでございます。まぁよくあるお題トークでございますな。


「俺は涼宮ハルヒが怖い。あんな女に振り回されたらたまったもんじゃない」
「俺は戦場ヶ原ひたぎが怖いね。アレだぞ、口の中にホッチキスの針を突き立てられるんだぞ?想像するだけで・・・あー怖い怖い」
「俺はネオグランゾンが怖いな。味方の時はいいけど、敵に回った時のあの破壊力は異常だろ・・・jk」
「俺はヴァジュラが怖いねぇ・・・。あんなものに攻撃されたらもう逃げようがないじゃないか」
「俺は木津千里が怖いなぁ・・・。色々な凶器できっちりされたりしたら・・・うへぇ・・・もう怖いわ・・・」


そんな中。ひとりだけなにも言わない男が一人。ある男が不思議がってこう聞きました。


「おい、お前は怖いものはないのかい?」
「怖い?怖いものなんてないよ」
ハルヒもガハラさんも怖くないっていうのかい?」
「ああ・・・そんなものは怖くないよ」
「本当かい?」
「だってアレだろ?ハルヒなんてもんは、怖い怖いって言ったってSOS団に関係ないような部活動にいればそこまで怖がる事はない。そもそも俺は帰宅部だから、巻き込まれる事すらないわな。世界を改変されても、怖いどころかそれを認識する事すらない。怖がる事はないよ」
「ガハラさんはどうだい?」
「ガハラさんなんてものはアレだよ、阿良々木君みたいに歩み寄っていくかそもそも一切近づかなければ一切害なんてえものはない。そもそもそこまで怖がる必要もないだろうに」
「じゃあネオグランゾンは?ヴァジュラは?」
「よしてくれよ。昔のネオグランゾンならまだしも、今のネオグランゾンなんてものは張り子の虎みたいなもんじゃないか。あんなものは怖がるもんじゃないよ。ヴァジュラ?俺の翼だよ、俺の翼」
「俺の翼って・・・まぁ理解出来ないけど凄い説得力だな・・・。じゃあ木津千里は?お前対処出来ないだろ?」
「まぁ対処出来ないっちゃあ対処出来ないな。しかしアレは絶望先生が人身御供となってそれ以上の被害を出さずに済んでるからなぁ。絶望先生が現れる以前ならともかく、今は昔ほど怖がる必要なんかないよ・・・・・・あ。」
「どうした?」
「怖いもの思い出しちゃった。うわぁ・・・」
「やっぱり怖いものがあるんじゃないか。なんだい、怖いものって。」
「ま・・・まいんちゃんが怖い」
「まいんちゃん?まいんちゃんって・・・どこのどいつだい?」
「知らないのか?NHK教育で放送してる奴だよ。・・・うわぁ・・・思い出すだけで怖くなってきた・・・」
「ああ、座ってられない。隣の部屋に布団をしいてくれないか」
「ああいいよ、ゆっくり休みなよ」


男が隣の部屋に敷かれた布団に入って頭からかぶり、ぶるぶる震えているのを見ると。他の皆は隣の部屋で爆笑しました。


「なんだい、怖いものがないなんて言っておいてまいんちゃんが怖いだって」
「あんなもん怖いのか。あいつもおかしなやつだねえ」
「・・・よし、みんな。あいつの怖がる姿を見たくないか?」
「ああ見たいねぇ。お前ら、まいんちゃんグッズ持ってるかい?」
「おう!今日は丁度まいんちゃんのCD発売日だったからな。大人買いしたまいんちゃんのCDが山のようにあるぜ。それをプレイヤーで流してやったらさぞかし面白いんじゃないか?」
「俺はまいんちゃんを毎回欠かさず録画してるからな。BD-Rに高画質で録画したまいんちゃんの映像を、あいつの部屋で流してやろう。きっとあいつは怖がるぞ・・・」
「よし!みんな色々持って、もう一回ここに集まるぞ!」


そういうと、皆はそっと部屋を抜け出し各々色々なグッズを手にして再度集まりました。布団にくるまって寝ている男の枕元にCDプレイヤーと大量のCDを積み、部屋にあるBDプレイヤーにBDをセットすると、男が気付くのを隣の部屋から待ちました。


「ねえ。起きなよ。もうお開きだよ」
「わかったよ。起きるよ。でももうまいんちゃんのことは言わないでくれよ」
「わかったよ。もう話さないよ」


そういうと同時に、CDプレイヤーの再生ボタンをぽちっと押しました。


D


「うわっ、なんで急にまいんちゃんの歌声が聞こえてくるんだよ!」


部屋中に『キッチンはマイステージ』が響き渡ります。男はがくがくと震え始めました。


「おい、お前ら俺はまいんちゃんが怖いっていっただろう!うわぁ・・・怖いよぉ、まいんちゃん怖いよぉ・・・なんでこんなに一杯CD買って来やがったんだよぉ・・・」


それと同時にBDプレイヤーも再生を始めます。大画面のTVにはクッキンアイドル アイ!マイ!まいん!の最新回が映っています。


「うわっ!!BDプレイヤーまで勝手に動きやがった!BRAVIAいっぱいにまいんちゃんが映ってるじゃねえか!怖いよぉ・・・まいんちゃん怖いよぉ・・・」
「うわぁ!アニメパートはじまっちゃったよぉ・・・アニメのまいんちゃんも怖いよぉ・・・やすのしんは爆発しr・・・いやいや、まいんちゃん怖いよぉ・・・」
「アニメパート終わったと思ったら実写パートはじまっちゃったよぉ・・・はぴはぴはっp・・・いやいやいや・・・怖いよぉ・・・実写のまいんちゃんも怖いよぉ・・・DJソルト爆発しろ!みんなも作ってア・ラ・モード♪」


なにかおかしいな・・・と、隣の部屋で様子を見ていた皆が部屋に駆け込むと。布団にくるまっていたはずの男は、BRAVIAの前で正座してクッキンアイドル アイ!マイ!まいん!を楽しげに見ています。


「あー、怖かった・・・10分なんてあっという間過ぎて怖い怖い。もう一回最初から見て怖さを克服しなくちゃ・・・」
「おい!おかしいおかしいと思ったら、なに正座してTV見てんだ!しかもバッグにCD詰め込みやがって!お前!本当は何が怖いんだ!」
「いやー、本当はまいんちゃんよりもみちか様が怖い」


お後がよろしいようで。

参考

まんじゅうこわい
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/7211/Japanese/manju.html


東西落語特選  江戸版 饅頭恐い
http://www.niji.or.jp/home/dingo/rakugo2/manju-e.html


KIDS WORLD - 番組しょうかい:クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!
http://www.nhk.or.jp/kids/program/main.html